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医療機器洗浄アドバイザーコラム 第30弾
2023年10月26日関東エリア担当の竹内です。秋もだいぶ深まり先月の9月29日は『中秋の名月』でした。皆さんは満月を見ましたか?私は、バッチリ見ました。綺麗な満月でした。本来の中秋の名月の意味は、『豊かな実りの象徴として満月を鑑賞し、お供えものをして、収穫の感謝や祈りを捧げる風習』となっていますが、私は、食べ物がおいしくなるなーと思ってしまいます。花より団子な竹内が今回お届けするコラムは、ウォッシャーディスインフェクターや超音波洗浄装置で使用されているチューブポンプ(洗剤ポンプ)に関してです。皆様は、チューブポンプ(洗剤ポンプ)の仕組みをご存じでしょうか?
チューブポンプ本体の構造は、中心部に回転部が備えつけられており、その周囲にはローラーが取り付けられています。回転ローラーの周囲に這わすようにチューブを取り付けます。ローラーと接触している部分は、ローラーと外側の壁に挟まれるので押しつぶされた状態になります。回転部を回転し始めると送液が開始されます。
ローラーがチューブを押し潰しながら回転するので、吸い込み側には負圧が発生し、これで液体を吸い込むことができます。吸い込んだ液体はローラーの回転動作によりそのまま吐出側に送られます。この動作が繰り返されることにより連続的に送液を行うことができます。
では、チューブポンプのメリットは?
・連続送液が可能
・自吸が可能
・空運転に強い
・定量送液がしやすい
洗浄に重要な洗浄剤が定量自動で分注でき、洗剤ボトルを交換した際の空運転にも強く吐出できる。ウォッシャーディスインフェクターや超音波洗浄装置のために開発されたの?と思うぐらい『ぴったり』なポンプだと思いませんか。その通りこのチューブポンプがあるからこそ洗浄の清浄度が保たれていると言っても過言ではありません。
しかし、デメリットもあります。
・チューブ交換が定期的に必要
・溶剤によってチューブの種類を変更する必要があるなぜ?チューブ交換が必要なのでしょうか?仕組みでご説明した通りローラー回転しチューブが圧縮・復調を繰り返すためにローラーの回転回数が多くなれば多くなるほどチューブが劣化して行きます。
NCC Column LIST
チューブが劣化するとどの様な現象が発生するかと言うとチューブの圧縮・復調が正規の幅で行われず閉塞状態となり定量送液が行えなくなります。チューブメーカーの取り扱い説明書などでは、1,2年で交換もしくは2,000回転目途で予備交換をお願いされている所が多い様です。
ウォッシャーディスインフェクター・超音波メーカー側でも定量送液が行えない場合に流量計がエラーを感知し装置自体を停止する機能が付いている装置も発売が増えて来ています。ただ、装置が停止すると洗浄が止まるので業務にムリが来ます。それを避けるには、予測的にチューブを1年ないし2年で交換する事ではないでしょうか。
また、いち早く送液量低下を発見するために洗剤のボトルにラインを引き、目視で減った量を確認する、または洗剤ボトルを計測器(計り)の上に置き、グラム数を確認するなど様々な取り組みを考え行われている現場様も増えつつあります。
また、洗浄インジケータを毎回入れ送液量低下をいち早く発見する事を心がけている現場様も見かける様になりました。
このコラムを読まれて『ハ!!』とされた方、一度対策検討をされてはいかがでしょうか。