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医療機器洗浄アドバイザーコラム 第28弾
2023年10月26日近畿・東海・北陸エリア担当の竹中です。
夏の暑さが過ぎ、秋の訪れを感じはじめる9月になりました。
皆様の地域では、どのような秋の味覚がありますか?
私は秋の出張が毎年楽しみです。今回のコラムは、超音波洗浄における「脱気」の重要性です。
第7弾で「真空」についてお伝えしましたが、洗浄槽内の水を「脱気」する為に、
洗浄槽内を「真空」にします。
超音波洗浄装置では、「脱気」する事で余分な溶存酸素を取り除き、
超音波の力を高めますがそれはなぜでしょうか?
一般的に医療用洗浄装置で用いられる超音波の周波数は、40kHz前後ですが、
それによって決まる直径(共振気泡径)以下の気泡が破裂し、圧破現象が発生し高い洗浄効果を生み出します。
ただ、それより大きな気泡は圧破現象が起きず、逆に衝撃波を吸収してしまい洗浄能力を弱めてしまいます。
ある調べでは、溶存酸素が7~9mg/ℓの洗浄槽と3mg/ℓの洗浄槽の比較で、
2倍~5倍の洗浄能力の違いが確認されています。
また、脱気した洗浄槽では、超音波振動子の照射面以外でも圧破現象が発生します。
脱気によって余分な溶存酸素が無くなった洗浄槽内部は、超音波が最も伝達しやすい
状態になり、照射面で圧破現象を起こした気泡が、その圧破現象を隣に伝え
そのまた隣に伝えていく連鎖現象が発生します。我々の真空ソノログ洗浄装置でも超音波発信のテストを行う場合、
NCC Column LIST
必ず「脱気」を行ってから測定器で計測を行いますがその差は歴然で、
洗浄槽の中心部と両再度は、均一で強力な超音波が発生しています。
中材にある洗浄装置には、超音波機能をアピールしている物が多くありますが、
「真空」や「脱気」の説明がない物は、想像している程の洗浄が出来ていない
かも知れません。
超音波は、目に見えない物なので、分かりにくい部分が多々ありますが、
適切な環境下では、非常に強力な洗浄能力を発揮しますので、
手術器材の洗浄に最適な方法です。