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タンパク質抽出方法BCA、OPA、CBBの特長~第2弾~
2022年12月21日近年では、2021年に医療現場における滅菌保証のガイドライン2021(日本医療機器学会)が発行され、洗浄ができているかどうかの確認についても重要なポイントとなっています。
中でも残留タンパク質の定量化の重要度が触れられておりガイドラインにもいくつかの方法が報告されておりOPA変法やBCA法・CBB法などがあります。今回のコラムでは、以前のコラムでは簡単にしか触れていなかったOPA変法やBCA法・CBB法の長所・短所や注意点などを説明させて頂きます。
BCA法
BCA法はタンパク質の定量においてよく使用されている手法の一つで、界面活性剤が含まれていても使用できるというのが大きな特徴です。
『長所』
・操作が簡単で、感度が高い
・界面活性剤の影響をあまり受けない
『短所』
・チオール:リン脂質:硫酸アンモニウムなどにより阻害を受ける
『定量範囲』
・20-1000㎍/㎖
『測定法の概略』
タンパク質サンプル溶液とビシンコニン酸試薬をよく混和して、バックグラウンドとの波長562nmにおける吸光度の差を分光光度計で測定する。タンパク質濃度が明らかなスタンダードの吸光度から描いた標準直線から、タンパク質濃度を求めタンパク質の定量分析を行う。
OPA法(Phthalaldehyde)
蛍光検出による高感度なタンパク質定量測定でO-Phthalaldehyde(OPA)が還元剤の存在下で
αアミノ酸と結合し、強い青色の蛍光を持つ化合物を生ずることを利用しています。
『長所』
・不快な臭いのない還元剤
・脂質:界面活性剤:還元剤の影響をあまり受けない
『短所』
・感度が低く、低濃度試料には向かない
・トリスなどのアミン系試薬により阻害を受ける
『測定範囲』
・0.2‐25㎍/㎖
『測定法の概要』
エタノールなどの還元剤存在下でタンパク質中の第一級アミンと室温で反応すると速やかに青色の
蛍光物質を形成する。波長は 455 nm における吸光度の差を分光光度計で測定し、標準タンパク質で作成した検量線と比較することによってタンパク質の定量分析を行う。
CBB法(Bradford法)
Commassie brilliant blue G-250という色素が酸性条件下でタンパク質の塩基性アミノ酸や
芳香族アミノ酸と結合して、未知のタンパク質の濃度を測定することができる。
『長所』
・操作が簡単で、妨害物質が少ない
『短所』
・タンパク質により発色率に差がある
・界面活性剤の混入により測定値が不正確になる
『定量範囲』
・5-25 ㎍/㎖
『測定法の概略』
タンパク質サンプル溶液とクーマシーブルー試薬をよく混和し、タンパク質を含まないバックグラウンドとの波長595 nm<における吸光度の差を分光光度計で測定する。タンパク質濃度が明らかな標準サンプル(スタンダード)の吸光度から描いた標準直線から、タンパク質濃度を求めタンパク質の定量分析
を行う。
残留タンパク質の定量化の3方法の長所・短所・概要を説明致しましたが、医療現場における滅菌保証の
NCC Column LIST
ガイドライン2021で残留タンパク質の定量化が重要になってきた背景は、『医療機器を扱う施設では、
ガイドライン等の基準・勧告により直接的・間接的に品質保証努力にしたがい医療機器の処理を実施するべきである』があり、現場でも残留タンパク把握すると言う努力目標が掲げられている。
しかし、現場ではどの測定法を採用するのも厳しい現状があると思いますが『実現不可』と諦めるのではなく自施設では出来る一歩はないか考え情報収集を行って見て下さい。例えば近年では紹介した残留たんぱく質測定方法を簡素化し現場で実施可能な拭き取り残留たんぱく質定量化システムも開発されてきています。まだ、メーカーの開発努力は必要な部分はありますが、現場の一歩としての清浄度確認としての
商品としては良い商品だと考えています。我々と一歩前進と考えられる中央材料室のスタッフの方は是非弊社へ問い合わせを頂ければ『共に医療機器の再生処理を考え安全かつ正確な洗浄を実施出来る進化を共有出来ると信じています』