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医療機器洗浄アドバイザーコラム 第21弾
2022年11月29日関東エリア担当の竹内です。11月といえば食欲の秋・紅葉など楽しみな季節ではありますが、コロナ・
インフルエンザ対策もぬかりなく準備し来る冬に備えたいものです。今回は、『一次洗浄廃止の中央化が進んで数十年、現在の悩み』をテーマに書かせて頂きます。
中央材料部で中央化(一次洗浄・消毒を廃止)が行われる様になってはや20年もたちました。20年経過し中央材料部では常識化した中央化ですが、現在手術部との間での悩みなどを耳にする様になって来ましたので今回のコラムにてその悩みの情報共有をさせて頂きます。日本国内では 1990 年代より全自動洗浄装置(ウォッシャーディスインフェクター)の普及により、従来から行っていた手術部・病棟・外来における使用済み医療器材の現場での一次洗浄・消毒を廃止(中止)し洗浄・消毒の中央化への推進が行われ。 それにより病棟・外来での汚染の拡散防止や職業汚染に繋がる危険性の防止とさらには熟練した専従職員による中央材料部での洗浄によって医療器材の清浄度における品質管理が行えるとメリットが非常に大きい中央化だと言えます。
一次洗浄・消毒をすることによる問題点
・ 標準予防策(スタンダード・プリコーション)の実施不可
・ 洗浄業務未熟者による不完全な洗浄(汚染の拡散)
・ 消毒剤・消毒工程を間違える
・ 各病棟・部署でそれぞれ医療器材管理を行うための不良在庫増
中央化(一次洗浄・消毒を廃止)のメリット
・ 標準予防策(スタンダード・プリコーション)の確実な実施
・ 熟練した専従職員による洗浄・滅菌業務が行われる(清浄度保障)
・ 医療器材の品質管理(QMS)が行える
・ 医療器材における経費削減が行える
上記の内容を考慮すると中央化(一次洗浄・消毒を廃止)はメリットしかありません。確かに用度・
手術部・病棟・外来においてはメリットしかありません。
中央材料部においてもメリットが大きいと思われますが、近年医療器材・器具の進化や業務内容の進化により中央材料部スタッフの悩みが増えてきているとも言えます。中央材料部スタッフの悩みごととは⁉
NCC Column LIST
・ 回収器材のカウントは何処で行うのが正解なのか?
・ 清浄度保障とは、洗浄インジケーターも使用していないのに?
・ 手術部・病棟・外来との回収事前ルールが守られない
・ 再洗浄出来ない医療器材の再生要望
中央材料部業務の悩みごと
・ 熟練スタッフ不足
・ 委託業者様における競争により人件費圧縮による更新で、スタッフのモチベーションが上がらない
勿論、病院職員様・医療従事者の立場・外部委託業者など病院には多くのスタッフ(専門業務先任者)
がいらっしゃりそれぞれの立場により思うことも考え方も違います。
この悩みごと全てに関して情報提供する事は厳しいので、私が現場を回る中で一番質問が多い『回収器材のカウントは何処で行うのが正解なのか?』に関して情報提供を行って行きたいと思います。
以外の悩みごとに関しても時期を見てコラムに情報提供を行って行きますので毎月アクセスして頂ければ幸いです。
では、『回収器材のカウントは何処で行うのが正解なのか?』の相談で最も多い手術器材に関して情報提供をスタートさせましょう。
手術器械セットは施設によって多種多様に作成されていると思います。その器械セットには何が入っているのかが解るようにリストを作成し、セットを組むとき・器械展開時・閉創前・洗浄前ときちんと確認し、記録を残す必要があります。中央材料部スタッフに関わりのある医療器材カウントが洗浄前で、
手術室内?中央材料部?ウォッシャーディスインフェクター洗浄後?となります。
『医療安全対策情報では、2018 年の 1 年間で最も多く発生するインシデント(アクシデント含む)の中で、「器械・ガーゼカウントの不一致」が 30.5%(n=787)、「体内遺残」は 7.0%の施設で発生しています。手術創内に器具などの遺残(以下体内遺残)は医療過誤であり、患者にとって、再度手術や麻酔の侵襲を受け、身体的・精神的に大変な苦痛となります』とあります。
中央材料部での手術器材のカウント実施現場で最も多くの病院で行われているには、『手術室内にて器材のカウント、手術部看護師と中央材料部スタッフによるカウントのダブルチェック実施後中央材料部の
洗浄室持ち込み洗浄担当者へ医療器材を引き渡す』でしょうか、次に多いのが『中央材料部汚物処理室で手術部看護師が、カウント用紙と器材を照らし合わせて数量の称号を行い、カウントが適合した器材を
洗浄室に持ち込むので、受け取った洗浄担当者は、カウント用紙と器材を照らし合わせて数量の称号を
行い、カウントが適合した器材を洗浄する』となりますが業務の忙しさや次の手術の準備などでカウント業務がおろそかになるなどや中材スタッフへ丸投げになるなどの現場様は稀に拝見いたします。近年では、二次元コードが刻印された手術器材を読み取り、手術中、術野への手術器材の出入りをリアルタイムに記録するシステムや手術室での鋼製器具の滅菌管理・患者トレース・組立支援などに加え、
病棟外来部署への鋼製器具の組立支援、払出、回収、定数・依頼管理など院内全体の鋼製器具管理を行うシステムも開発されており、導入金額はかかりますがカウント業務低減や効率的な器材管理が行えると
言えます。
ただ!!多くの病院ではそこに予算を掛ける事は不可能と言う意見が聞こえて来るような気がします。
そこで、ある病院様が行っているコミニケションを使ったシステムをご紹介させて頂きます。この病院様では、看護師が起こすインシデント・アクシデントは、「確認・知識不足」「マニュアルの不遵守」が90%以上であるとし、この確認・知識不足を補うため手術部看護師・中央材料部スタッフ合同で『危険予知トレーニング用紙』を使用してのグループワークを実施したり、メーカーの勉強会を開いて確認不足や知識不足を補いカウント業務の流れの効率化とカウント業務の大切さを学んで、確認・知識不足を補い業務の効率を上げ危険予知にも生かしている様です。
危険予知トレーニングやスタッフコミニケション向上トレーニングが予算を掛けずに出来る一番の業務改善かも知れません。また、メーカーが持っている情も収集にお金は発生しません。この情報に有効なヒントが潜んでいることも多くありますので、メーカー勉強会も出来るだけ参加人数を増やし定期的に実施しましょう。
弊社でも様々な業務改善などや洗浄の勉強会を開かせて頂いておりますので、要望のある方は、弊社までお問い合わせ下さい。