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2025年01月30日
医療機器洗浄アドバイザーコラム 第46弾

2025年01月08日
医療機器洗浄アドバイザーコラム 第45弾

2025年01月08日
~アルカリ洗浄剤の進化~               ヨーロッパ諸国における強アルカリ酵素洗浄剤の進化と特長

2024年12月11日
ウォッシャーディスインフェクターの洗浄プログラム特性について

2024年12月06日
医療機器洗浄アドバイザーコラム 第44弾

2024年11月07日
中央材料室の区域区分に関して

2024年10月31日
医療機器洗浄アドバイザーコラム 第43弾

2024年10月03日
立ち仕事の身体への負担と負担軽減の工夫

2024年09月24日
医療機器洗浄アドバイザーコラム 第42弾

2024年09月09日
医療器具洗浄のヨーロッパ情報と洗浄評価実施のタイミングと種類

2024年08月22日
医療機器洗浄アドバイザーコラム 第41弾

2024年08月05日
洗浄装置への積載前一次洗浄処理方法と種類

2024年07月22日
医療機器洗浄アドバイザーコラム 第40弾

2024年07月02日
中央材料室で使うシステムシンクと家庭用システムシンクとの違いについて⁉

2024年06月14日
医療機器洗浄アドバイザーコラム 第39弾

2024年06月10日
ウォッシャーディスインフェクターと超音波洗浄の洗浄スタイルと特長

2024年05月10日
医療機器洗浄アドバイザーコラム 第38弾

2024年05月09日
医療機器”洗浄スポンジ”や”洗浄ブラシ”の交換時期判断基準

2024年04月30日
医療機器洗浄アドバイザーコラム 第37弾

2024年04月12日
なぜ?家庭用食器洗浄剤を使用してはダメなのか?

~アルカリ洗浄剤の進化~               ヨーロッパ諸国における強アルカリ酵素洗浄剤の進化と特長

2025年01月08日

新年あけましておめでとうございます。昨年の話にはなりますが・・・
12月1日土曜日は、冬至でした。皆さんはゆず風呂や『ん』の付いた食べ物を食べましたか?
私は、出張中だったので・・・ゆず風呂には入れませんでしたが『ん』の付いた食べ物は『南京の煮物』
を食べました。なぜ『ん』の付いた食べ物を食べる様になったのでしょうか?諸説ある様ですが、
運がよくなるように、にんじん、れんこん、かぼちゃ(別名なんきん)など、名前に『ん』が重なる
食べ物を食べるようになったのと、本格的な冬に入る前にβカロチンやビタミンCなど、栄養素が
たっぷりな食べ物をたべ体を健康的に保つとも言われている様です。

医療現場における健康的と言うと感染管理ではないでしょうか、感染管理は、患者の安全を
守るうえで欠かせない要素です。ヨーロッパ諸国では、特に医療器材の再処理における
強アルカリ酵素洗浄剤が高く評価され、その技術が進化を遂げてきました。本コラムでは、
強アルカリ酵素洗浄剤の特長と進化、さらにヤコブ病(Creutzfeldt-Jakob disease, CJD)
対応ガイドラインを含む関連情報を取り上げ、中央材料部で業務を行われてる方々へ
情報提供を行いたいと思います。

ヨーロッパ諸国で使用される強アルカリ酵素洗浄剤は、主に以下の特長を持っています。

1. 高い洗浄効果
強アルカリ性(pH10.5以上)の洗剤と酵素成分の組み合わせにより、頑固な有機物汚れや
バイオフィルムを効果的に除去し、酵素(プロテアーゼやリパーゼなど)の作用が加わることで、
汚れを効率よく分解します。

2. 短時間洗浄
強力なアルカリ性により、汚れ除去の速度が速く、短時間で高い洗浄効果が得られ医療現場での迅速な
器材再処理が可能になります。

3. 素材への選択的適応
特殊な材質に対しても適応できる製品が開発されており、デリケートな器材と耐久性のある器材の両方
に使用できます。

ツーシステムがオールインワンになった強アルカリ酵素洗浄剤の進化とは!!

ヨーロッパでは、技術革新により強アルカリ酵素洗浄剤の性能が向上し続けています。
その進化のポイントは何か?
ポイント1. 酵素の強化:
強アルカ環境下(pH9~pH12)でも活性を維持する酵素が開発され、強アルカリ性洗浄剤との相性
が向上しています。
ポイント2.中温洗浄への対応:
中温(55℃–65℃)で使用可能な製品が増加しており、熱とアルカリの相乗効果による洗浄力の向上
が図られています。
ポイント3.循環ポンプ(高速ポンプ)への適合:
ウォッシャーディスインフェクターでの使用を前提に設計された界面活性剤を採用する事により
循環ポンプ性能を下げる発砲要素も低減されつつあります。

強アルカリ酵素洗浄剤のヤコブ病対応ガイドラインとの関係は?

ヤコブ病(CJD)は、感染性プリオンが原因となる致死性疾患であり、器材を介した
感染リスクが問題視されています。ヨーロッパ諸国では、強アルカリ酵素洗浄剤が
このリスク管理と医療器材劣化低減として注目されています。

1. アルカリ性の効果
プリオンは非常に安定した構造を持ち、通常の洗浄や滅菌方法では完全に除去でき
ない場合があります。
ガイドライン(例: イギリスのDepartment of HealthやドイツのRobert Koch Institute)は、
pH10.5以上の強アルカリ性洗剤を用いた55℃での10分間の洗浄(洗剤メーカーのエビデンス
によって違いがある)を推奨しています。

2. 多段階洗浄プロセスから一段洗浄プロセスへ
数年前までは、多段階洗浄プログラムが採用されていたのですが、溶剤を2剤(強アルカリ洗剤
と中性酵素洗剤)使用し洗浄工程を2工程とするプロセスが支流でしたが、キレート剤に
強い酵素剤の開発により強アルカリ酵素洗剤が発売されコスト削減と洗浄時間短縮が可能になりました。

強アルカリ酵素洗剤は、ヤコブ病のような特定の感染症対策だけで使用されるのではなく再生医療器具
洗浄全般で使用されていて現場での業務改善にも役立っている様です。その事例も紹介したいと思います。

多段階洗浄プロセスでは、洗浄時間が約15分前後必要だったものが1段階洗浄にプロセスを変更する
事により約5分短く設定できるのと血液、脂質、タンパク質といった有機物を効率的に分解できるため
一次洗浄の業務も浸漬洗浄から噴霧洗浄へ変更でき業務の低減できます。
また、強アルカリ酵素洗剤は、幅広い器材適合性適用性がありステンレス鋼・硬質プラスチック・
耐熱性のゴム製品や表面をアルマイト加工した医療器材にも使用可能です。

近年では、経済的かつ環境配慮も重要洗剤選びのポイントと言われます。
オールインワンでコスト削減が図れるのと高濃縮の製品は少量で効果を発揮し、全体の使用量を
考慮するため経済的です。また、環境負荷の軽減ヨーロッパ諸国では盛んに叫ばれており医療機器認可
においてもポイントとしている国が増えつつあり最新の製品は、環境に配慮した成分を採用しており、
廃液の処理が容易に行えます。

コラムの最後に情報提供のまとめです。
強アルカリ酵素洗剤は、医療現場における感染管理や効率化のための短期的な洗浄剤であり、
その特性はヤコブ病対策を超えて即時性を提供すると共に環境負荷にも配慮できる洗浄
ソリューションとなります。興味のある方は、弊社営業担当者へお問い合わせください。

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