-
中央材料室の区域区分に関して
2024年11月07日11月9日は、換気の日であるのをご存じでしょうか?日々私たちが快適に生活をするためには
『快適な環境』が必要になります。私たちにとって最も身近にある快適要因は、空気と言えます。
換気をして部屋に多くの酸素を取り込めば頭がスッキリし、目が覚め集中力を高めることができます。
また、室内のほこりを室外に出す効果もあります。ほこりには雑菌が付着していることもありますので、
病気やアレルギーなどの予防にもつながるとも言えます。中央材料部での換気と言うとゾーニングと
空調管理かも知れません。やはり綺麗な空気に満たされた環境では作業効率が高くなると言われて
います。
今回のコラムは、中央材料部における最新のゾーニング(区域区分)の考え方について書いて
いきたいと思います。
中央材料部(CSSD:Central Sterile Supply Division)は、医療現場における『安全性』と『安心性』
を確保するための重要な拠点です。中央材料部を考える際、効率的な作業動線や設備管理だけでは
なく、ゾーニングの考え方を取り入れることが必要です。
1. ゾーニングの基本概念
中央材料部では、以下の3つの領域に明確に分けたゾーニングが基本です。
不潔エリア(除染エリア):使用済みの医療器具が運ばれ、洗浄・消毒が行われるエリア
準清潔エリア(組立・梱包エリア):消毒済みの医療器具が組立・梱包されるエリア
既滅菌室エリア(清潔室):滅菌処理が実施された後の医療器材を保管するエリア
最新のゾーニングの考え方では、各地域間の物理的な分離だけでなく、空気の流れや圧力差も
管理します。これにより、交差点汚染を防ぎ、常にクリーンな環境を守ることができます可能です。
2. 一方通行の動線設計とゾーニングの融合
医療器具の移動経路(動線)に関して、一方通行の動線を徹底することが、ゾーニングにおける
重要な要素です。 不潔領域から準清潔領域、清潔領域へ進む器具の動線は、処理済みの医療器具が
交差するポイント作ってしまうと交差点汚染のリスクが上がります。
さらに、スタッフの動線も明確に分け、特に不潔な作業に従事するスタッフが準清潔な区域に
直接入らないように工夫が必要です。
設計上一方通行になっている現場様は、あまり考えずに準拠出来ますが、不潔と準清潔が一緒な
エリアにある現場様は、作業時間に差を設けたりエリア区分テープを使用したり医療器具が交差
しない工夫が必要で、近年の新築中小規模の病院様ではフレキシブルナゾーニングの設計も行われます。
これは、移動式パーティションやモジュール式の壁構成などによって不潔・準清潔の可動式にし
スペースの有効利用が実施されています。
3. 空調管理と圧力差によるゾーニング
NCC Column LIST
ゾーニングでは、空調管理が非常に重要な役割を果たしています。中央材料部の各エリアでは
異なる圧力設定され、清潔エリアは陽圧、逆に不潔エリアは陰圧に設定されています。
空気の流れが不潔領域から清潔領域へ流れ込むことを防ぎこれにより、微生物や汚染物質の
拡散を抑制しています。なので、各エリアの扉の開けっ放しはやってはいけない事だとご理解
いただけると思います。
最新の空調システムの考え方では、特に既滅菌室の温湿度を厳密に管理し、滅菌有効期限の
考え方を『Event - Related Sterility Maintenance(ERSM)』にし運用する現場も見かける様に
なって来ました。
4. エルゴノミクスと安全性の向上
作業効率を上げるための人間工学的な設計も、最新のゾーニングと密接に関わります。
特に長時間同じ作業を行うスタッフの身体の負担を軽減するために、作業台の高さや配置、
適切な照明また、スタッフが清潔なエリアと不潔なエリアを間違えなく利用できるように、
視覚的な区別(色やサイン)の導入も行われています。
ゾーニングの考え方を取り入れることは、医療機関の安全性と効率性を高めるために必須の要素です。
現状の空間で諦めずフレキシビリティ的な考え方を用いて可動式パネルや棚などを利用し
簡単なDIYで常に最適な環境を維持できる中央材料部を目指すことが重要です。
最新のゾーニング(区域区分)の考え方の情報を集め簡単なDIYを行う事で、中央材料部は
一層の高機能化と安全性の向上を実現し、医療現場における信頼性を確保することができるので
はないでしょうか。最新のゾーニング(区域区分)の情報も勉強会を実施する事が可能です。
興味のある方は是非営業担当者へご連絡下さい。