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中四国担当の川端が今回のテーマは『洗浄に使用する水と滅菌に使用する水』について情報提供させて頂きます。

ご存じの方も多いと思いますが水には様々なものが溶け込んでいます。例えば飲用やお風呂などに使われる水道水には病原微生物を消毒するための塩素が含まれます。
大体の水は無色透明なので目視では見分けがつきませんが水質は様々異なります。
では洗浄に使用する水と滅菌に使用する水は同じで良いのでしょうか。
「水」についての認識を深めるために、今回は『医療現場における滅菌保証のガイドライン2021』に記載された「水」についての情報を紹介したいと思います。
洗浄やすすぎに用いる水は3種類記載があります。
①水道水
水道水の水質は洗剤、洗浄機、器材メーカーの要求する基準(水道法に基づく水質基準1)を満たしていることを年に1回確認し、結果を記録保管することが勧告されています。
②軟化処理水
水道水の硬度が基準より高い場合は軟化処理された水を用いることが勧告されています。1日に1回水質の確認と記録保管が勧告されています。
軟化処理水はスケール付着は防止できるが、一方、塩化物イオンやケイ酸などは除去されないので腐食や変色の低減は期待できない、という注意事項があります。
③脱イオン水
脱イオン水はイオン交換水、RO水、蒸留水など水道水中の不純物が除去された水のことです。1日に1回導電率が適正範囲内かの確認と記録保管が勧告されています。水に含まれる硬度成分、塩化物やケイ酸が除去されるのでスケール付着や腐食変色を低減できます。
最終のすすぎには脱イオン水を使用することが推奨されています。

ポイントとなるのはいずれも水質の確認と記録の保管をすること、ではないでしょうか。
装置の方で自動的に記録保管されている、というのもありますがあまり意識されていないのが現状だと思います。
脱イオン水の導電率の適正範囲ですが、このガイドラインでは洗浄に用いる水の基準値は記載されていません。
『機械の再生処理』(いわゆる赤本)では15μs/cmを許容値とするのが妥当だとする記述があります。参考にして頂ければと思います。

一方で滅菌に用いる水についてはどうでしょうか。
同じく『滅菌保証のガイドライン2021』では滅菌剤として使用される飽和水蒸気は水を加熱して得られるものなのでその原水に不純物があると滅菌不良や滅菌物の汚れ、腐食につながると言われています。
水質についてはヨーロッパ規格(EN285)で定められている水質基準が採用されています。導電率でいうと5μS/cm以下です。
その他ケイ酸塩、鉄、カドミウム、塩化物、リン酸塩などの基準値も併せて掲載されています。

今回は洗浄と滅菌に用いられる水に求められる水質の違いについてご紹介しました。
較べると洗浄より滅菌の方がより厳しく水質を求められていることが分かりました。ROなどの水処理装置1台で洗浄機と滅菌器の両方に供給されている施設も多いかと思います。ということは滅菌に用いる厳しい方の水質を確保する必要があります。逆にいうとそれが出来ていれば洗浄の最終すすぎに使う水の水質としては申し分ありません。
ただ導電率で5μS以下をキープし続ける、というのはいささか厳しい数値のようにも感じます。赤本でも15μS以下なら十分に効果的であるとも記載がありますし、私の経験的にも5μSを限度としてしまうとRO膜の交換の頻度が15μSと較べて早くなってしまうのでランニングコストがかさんでしまう、というデメリットが大きくなるのではと感じます。

今回はガイドラインで要求される『水』の質についてご紹介しましたが、水の世界は奥深いものがあると感じています。今後もより深堀したテーマで洗浄・滅菌と『水』に関してご紹介していきたいと思います。
今回は以上です。

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