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医療機器洗浄アドバイザーコラム 第34弾
2024年01月29日近畿・東海・北陸エリア担当の竹中です。
最初に1日に石川県の能登地方を中心に大きな災害があり私のお客様も
被害に遭われているのでとても心配しています。
一日も早い復旧をお祈り申し上げます。
今回のコラムは、残留蛋白質の現場測定に関しての問題点と将来展望について。
医療現場における滅菌保証のガイドライン 2021の8.洗浄評価の
8.2洗浄評価基準に、勧告として「洗浄後のRDMに残留するタンパク質が、200μg/RMD以下である事を確認する」と明記されており、残留蛋白質を確認する事は、
非常に重要である事が分かります。
また、世界基準をみても同様であり、特にドイツでは器材の種類ごとに
「方法」「許容値」「警告値」が明確に定められています。
それでは、現在どの程度日本の中材で、残留蛋白質の確認を定期的に行っているかと言うと、
可なり限定的と言わざるを得ません。
その理由は、いくつか考えられますので、下記に並べてみます。
① 現場で簡単に残留蛋白質を検出できない。
② 洗浄業務が優先されて、洗浄評価を行う時間が取れない。
③ メーカーに依頼するとその都度高額な費用が発生する。
④ 滅菌と比べて洗浄の評価は、重要と考えていない。
病院や現場によって理由は様々ですが、今まで行っていなかった事を
NCC Column LIST
始めるには高いハードルがあります。
「一度検討したが、結論が出ずそのまま保留にしている」とのお話しも
よくお聞きします。
理由①については、ガイドラインに蛋白質の抽出方法が記載されていますが、
中材スタッフの皆様が簡単にできる方法ではなく、メーカーなどへの依頼が必要で、
日々の点検で行う事は難しいです。
但し、簡単に残留蛋白質の検出ができる製品も数年前から販売されていますので、
ハードルは下がっています。
理由②についても再洗浄が不要な検査方法もあり、洗浄業務に支障がでない方法も
増えています。
理由③の費用については、一番頭が痛い所ですが、患者様の安全を担保する為と考えれば、
必要な費用となりますので、事務の方をなんとか説得して下さい。
理由④は、確かに滅菌の様な強制力はありませんが、将来的に変わっていく可能性もあり
今から先行して対応する事も重要です。
残留蛋白質の検出については、世界で日々新しい製品が研究開発されているので、
もっと簡単に安価で正確な数値が直ぐに分かる検出方法も出てくるかもしれません。
新しい情報があれば、このコラムで紹介させて頂きますので、
今年もコラムのチェックをお願い致します。