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軟性内視鏡の洗浄に関して
2024年01月29日この度の令和6年能登半島地震により被災された皆様、ならびにそのご家族の皆様に心よりお見舞い申し
上げます。 皆様の安全と被災地の一日も早い復興を心から願っています。
本年もNCC FIクリーン事業部コラムを宜しくお願い致します。
今年は、私は年男になります1976年辰年生まれです。辰年は『初めの一歩を踏み出すために』とても良い干支であると言われている様です。
中国では古来、龍(辰)は最も聖なる生き物とされ、権力、隆盛、吉祥の象徴として崇められてきました。十二支の中では唯一空想上の動物であり、願いを叶え物事を好転させてくれる縁起のいい干支となるそうです。また、今年は甲辰(きのえたつ)という年で「新しいことを始めて成功する、いままで準備してきたことが形になるといった、縁起のよい年になる」と言われているので、皆様も何か新しいことを初めて見てはどうでしょうか。すごい成功を収めるかもです!!
2024年1回目のFIクリーン事業部コラムでは『新しいこと』にひっかけて、中央材料室から離れて内視鏡の用手洗浄ポイントに関して話を進めて行きたいと思います。
内視鏡も手術器具と同じで『洗浄なくして消毒なし』です。
確実な洗浄を行い、汚染物質を除去することが重要な業務になり洗浄が不十分だと、粘液の内視鏡への固着・レンズ面の汚れ・バイオフィルム形成など、消毒効果を減少させ内視鏡診断の低下にもつながります。 また、消毒剤は有機物が多いと殺菌活性が低下します。
軟性内視鏡の洗浄ポイント!!
① 使用後のベットサイド洗浄を必ず行う
1. 検査後ただちに洗浄液を浸したガーゼでスコープ外表面を拭く
軟性内視鏡材質に影響を与えない中性・弱アルカリ性洗浄剤等を用いてベッドサイド洗浄することにより、汚染物の乾燥と汚染度を減らす事が可能となる。また、吸引チャンネルの洗浄には200 mL以上の洗浄液の吸引を行う事も必要となる。
2. 洗浄液を吸引し吸引チャンネル内を洗浄する
吸引チャンネルの洗浄には200 mL以上の軟性内視鏡材質に影響を与えない中性・弱アルカリ性洗浄剤等の吸引を行う。
3. 送気・送水チャンネルにAWチャンネル洗浄アダプターを取り付け送水する
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② 速やかにガイドラインに従った事前用手洗浄を行う
1. 防水キャップを取り付ける。
2. 洗浄液を浸したスポンジなどでスコープ外表面を洗う。
用手工程は、スポンジやマイクロファイバークロスを用い洗浄液に浸漬した状態での洗浄で清浄度を高めることが出来る。この工程を省くと、その後の洗浄消毒機での工程で菌やウイルスを殺滅しきれない可能性がある.スポンジやマイクロファイバークロスは、劣化管理を行い常に良好な汚染物剥離が出来るものを使用する。洗浄剤には,血液や体液の除去に適している中性または弱アルカリ性の専用の医療用酵素洗浄剤を使用し、酵素洗浄液の温度は洗浄度に影響するため,適温に調整することが望ましい。一般的には,温度が高いほうが酵素活性が高いため約35℃~50℃の水の使用する事が望ましいが適切な温度は洗浄剤により異なるので販売メーカーに確認して使用する。
3. 送気・送水ボタン・吸引ボタン・鉗子栓をスコープから外して洗浄する。
送気・送水ボタン・吸引ボタンは構造が複雑であるため、使用後には取り外してくぼみや穴を専用ブラシで洗浄する。
4. 内腔専用ブラシで吸引・鉗子チャンネル内をブラッシングする。
内腔専用ブラシによる不十分な洗浄により、患者様の感染や内視鏡シリンダーの削れによる故障と機能不全の発生する可能性があるため、内腔洗浄ブラシは専用のディスポーザブル製品を用いることをお勧めします。
この様なガイドラインに従った洗浄を日々行われていると思いますが、現場で清浄度を確認し実際の洗浄が出来ているかの検証を行われている現場様は少ないように思えます。
NCC Column LIST
なぜ少ないのか?それは、内視鏡用の洗浄インジケーターや残留蛋白質測定方が無いからではないでしょうか。手術器具洗浄用の洗浄インジケーターや残留蛋白質測定法を利用されて清浄度確認を実施するしかないのが現状だと言えます。近い将来、内視鏡専用の洗浄インジケーターや残留蛋白質測定キットが発売される事を願いましょう。我々もその様な商品を手掛ける事が出来るようメーカーとして日々努力して行きます。