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軟性内視鏡中央化の現状
2023年12月13日今年は、暖冬と言われ12月中旬にもなるのに20℃の最高気温を記録したと思えば、翌週寒波が到来など
寒暖の差で体調を崩しやすい状況が続いています。また、インフルエンザも例年より流行していて感染管理を行われている方々は、一番忙しい年末年始を過ごされているかと思います。
今回のコラムでは、感染管理の方々からも問い合わせがある事がある内視鏡の中央化と言う事に焦点を
当てお話したいと考えております。
まず、中央化とは『昨今の厳しい医療経済の中で、人・物・情報を一元的に管理し業務の標準化・省力化を高めて行く事は、病院経営の合理化を図る上では重要なことである』となっています。中央材料部でも医療機器の中央化『病棟における一次洗浄・消毒を廃止して、洗浄・消毒の標準化を目指し中央化処理を実施すること』が進み多くの病院さまで医療機器の中央化が終了しています。
医療機器の中央化の次の中央化が軟性内視鏡の中央化と言われていますが、軟性内視鏡の集中処理は進んでいないのが現状です。
軟性内視鏡が中央化へ中々進まない一番の壁は、軟性内視鏡は高額であり、中央化には必要とされる現状の1.25倍の本数を保有できず洗浄・消毒に必要な時間の確保が難しいこと、内視鏡室と回収連携が複雑になり洗浄開始までに時間がかかり、汚染物が凝固などによって落ち難くなってしまうことではないで
しょうか。
ただ、冒頭でも述べた通り人・物・情報を一元的に管理する事は、より安全(感染防止)な医療を患者様へ提供するためでも重要になります。
軟性内視鏡の清浄度が担保された状態で患者様に使用するためには、洗浄・消毒が標準化される事だと
考えますが、トラブル事例『内視鏡の使用後、適切に洗浄を行わなかったまま、次の患者に使用した事例の報告』がネット上に多く上がっています。
『洗浄・消毒方法の誤り』の事例
NCC Column LIST
● 洗浄のために使用したマニュアル自体が異なる目的に使用するものであった。
● 洗浄器の消毒効果を使用毎に確認しなかった。
● 保護キャップを装着するところ装着しなかった。などがあげられた。
これらの事例の発生要因は、患者様に使用→洗浄→消毒→次の患者様に使用、という作業工程で行う内容が省略されたとではないかと思われます。
この事例から考察すると、患者様へ適切な洗浄・消毒がなされた内視鏡を使用するために、洗浄・消毒の方法のみではなく、病院内の所有台数と洗浄・消毒にかかる時間を勘案し、無理のない使用方法を検討して中央化を図ることが一番の選択しではないかとも言えますが、どこで、誰が軟性内視鏡の洗浄・消毒をおこなうのかは、施設ごとの条件(費用や環境)によって様々なケースがあり直ぐに中央化は無理な場合もあると思います。その場合は、患者様の事を一番に考えより良い洗浄・消毒が安定しておこなわれるよう手順(仕組み)を構築し、その維持・改善・教育をおこなう一連の取り組みが何よりものポイントではないでしょうか。
皆様も一度貴院の軟性内視鏡の清浄度はどうかを検討して見て下さい。