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洗浄に重要な界面活性剤の話
2023年03月11日3月とは思えない陽気が続いています。近頃は日本も四季が無くなりつつあると言われています。
生活環境も年々変化が大きくなり対応をして行く事が大変になって来ています。
医療機器の洗浄も様々な時代で変化と進化を続けて来ていると言えます。
今回は、その中でも洗浄剤の主要溶剤と言われる界面活性剤に関して情報提供を行って
行きたいと思っています。
界面活性剤とは?
異なる2つの物質には境界面がありこの2つの混じり合わない物質の間には、必ず界面が存在します。
水と空気の界面・水と汚れの界面・水と医療機器表面の界面・洗浄槽と水の界面のように、たくさんの
界面が存在しています。
界面活性剤とは、このような界面に働いて、界面の性質を変える物質のことを言います。
界面活性剤の作用
界面活性剤には、「浸透作用」「乳化作用」「分散作用」という3つの作用があります。浸透作用とは、
物質の中に別の物質をしみこませる作用のことで、水をはじく物質に界面活性剤を加えれば水が染み
こむようになり乳化作用とは、界面活性剤を加えることで、水と油が混じりあうことです。
界面活性剤の最大の特長は、混じり合わない2つの物質の境界に界面活性剤が働いて界面の性質を
変える事です。
界面活性剤の分子は特徴的な形をしています。1つの分子の中に、水になじみやすい部分(親水基)と
水になじみにくい部分(疎水基)があり、一般的には下記の図のようなマッチ棒の形の模型で示されます。
界面活性剤の種類
NCC Column LIST
陰イオン界面活性剤
陽イオン界面活性剤
両性界面活性剤
非イオン界面活性剤
の4種類があります。それぞれ用途に合った使い方をされているので、興味がある方はより詳しく調べてみてください。
また、界面活性剤は人工的に作られたものというイメージがありますが、天然成分の界面活性剤も多いです。
ここで、雑学を1つ!!
牛乳はタンパク質が界面活性剤の役割を果たして水と油(脂肪分)を結びつけています。
この界面活性剤の役割を果たすタンパク質により牛乳は脂肪分と水分が分離することなく混じりあっているので『白い液体』を維持できるのです。この事から食品に使われる界面活性剤を「乳化剤」とも呼ぶのです。
界面活性剤の進化
疎水基と親水基がアミド結合で結合したタイプの脂肪酸アルカノールアミド型は、それ自体では水溶性が低くて単独での使用はありませんが、硫酸エステル塩(AS、AESなど)と組み合わせることにより安定な泡を形成するので、洗剤などの泡安定剤として使用されています。
さらに最近登場した糖類(ぶどう糖等)を原料とするアルキルポリグリコシドは、皮膚刺激性が非常に
低く、洗浄力や起泡力に優れた界面活性剤として注目されています。
この様な最新の界面活性剤を有効に使用した医療機器専用の洗浄剤も登場してきています。
弊社でもThermoShield xtremeと言うアルカリ酵素洗浄剤は発売され多くの現場様で採用となって来ています。洗浄不良や洗浄医療器材ダメージなどでお困りな方々は是非弊社へお問い合わせ下さい。