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医療機器アドバイザーコラム第19弾
2022年09月13日近畿・東海・北陸エリア担当の竹中です。
今回は、第16弾でお話しした「洗浄プログラム」の続きで、
皆様も一度は、お聞きになった事があるかもしれませんが、
「VARIOTDプログラム」についてお話しします。先ずは、下記の2つのプログラムを比較して下さい。
「VARIOTDプログラム」
① 予備洗浄 3分 水
② メイン洗浄 10分 55℃ 水・湯 酵素洗剤
③ すすぎ① 1分 湯
④ すすぎ② 1分 湯
⑤ 除染 5分 90℃ RO水 潤滑乾燥促進剤
⑥ 乾燥 5分
「高温アルカリ洗浄プログラム」
① 予備洗浄 3分 水
② メイン洗浄 10分 93℃ 水・湯 アルカリ洗剤
③ すすぎ① 1分 湯
④ すすぎ② 1分 湯
⑤ 最終すすぎ 1分 60℃ RO水 潤滑乾燥促進剤
⑥ 乾燥 5分
一つ目の注目点は、メイン洗浄の温度の違いで、
「VARIOTD」は、55℃で「高温アルカリ」は、93℃となります。
二つ目は、「VARIOTD」は、メイン洗浄とは別の⑤工程で、
熱除染(90℃)を行っています。
「VARIOTDプログラム」のメリットは、55℃の低温で洗浄する事により、
NCC Column LIST
器材のダメージを抑える事ができます。
また、メイン洗浄とは別の工程⑤で除染する事により、綺麗なRO水で
除染する事ができます。
一方、「高温アルカリ洗浄プログラム」の場合は、メイン洗浄②の汚れた水で、
除染する事になります。
また、超音波洗浄でも55℃での洗浄は重要になります。
その理由は、超音波は60℃を超えるとキャビテーションが起きにくくなる為、
60℃以上の洗浄で超音波を出すのは意味がありません。
ただし、下記のデメリットも認識して運用する必要があります。
55℃の低温洗浄の為、変性した汚れに対して、どうしても不利になり
特に中性酵素洗剤を使用すると一次洗浄(用手、浸漬)が必須となり、
中材の業務が増えてしまいます。
その対策として、中性酵素洗剤とアルカリ性洗剤の両方を投入する
プログラムを最近見かける事がありますが、無駄に洗剤を消費し経済的ではなく
スマートな方法とは思えません。
更にこの洗浄では、ヤコブ病のガイドラインに対応できない点も
大きなデメリットの一つです。
お伝えした通り、VARIOTDプログラムには、メリットとデメリットがありますが、
このデメリットを補う為の対策が、既にヨーロッパで行われています。
例えば、我々FIクリーン事業部でも取り扱っているアルカリ性酵素洗剤のサーモシールド・エクストリームです。
サーモシールド・エクストリームは、酵素が配合されたアルカリ性洗剤で、
55℃の低温洗浄で、ドイツのヤコブ病のガイドライン(法律)に準拠しています。
一つの洗剤で、酵素とアルカリの両方の特徴がありとても経済的で、器材のダメージも
抑える事ができます。
前回もお伝えしましたが、洗浄装置の洗浄プログラムには、沢山の要素があり一つ一つが重要です。
一度、お使いの洗浄装置の洗浄温度・洗浄時間・洗剤分注量などを
確認されては如何でしょうか?
また、そのプログラムを設定した洗浄装置メーカーや洗剤メーカーに
プログラムの内容が分かるプログラム表を提出して頂いてもいいと思います。
もしかすると無駄な消費が見つかり、ランニングコストを抑える事が出来るかも
しれません。
猛暑、ゲリラ豪雨や大型台風など天候が安定しない日々が続いていますが、
朝晩は少し涼しさを感じる事もありますので、体調にお気を付けください。