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業務の一環として簡易的に行える医療器具清浄度確認方法について
2022年07月22日今月の私のコラムは、様々な現場様から多く寄せられる質問事項の中に実際手術や病棟・外来で使用した医療器具における「清浄度確認をどうしていったらいいのか?」と言う事です。
洗浄装置メーカーや洗浄剤メーカーが実施する装置設置時やプログラム変更時にPQとして実施してくれるチャレンジデバイスを用いての残留タンパク質測定や定期的に現場がチャレンジデバイスを購入しての残留タンパク質測定確認実施などがありますが、それを実施されていくうちに次の様な疑問が出て来るようです。
「実際使用の医療器具はどうなのか?」・「確認頻度を上げた方が良いのでは?」
そこで、今回のコラムは現場で日々の業務の一環として実施可能な洗浄終了後における医療器具の清浄度確認方法を2種類紹介させて頂きます。
代表格として一番に言われるのがATP測定法で、生物の細胞内に存在するATP(アデノシン三リン酸)を酵素などと組み合わせて発光させ、その発光量(Relative Light Unit;RLU)を測定する方法です。
一番のメリットは、清浄度をチェックして即座に対応し、 アクションに移れる(チェック&アクション)迅速性だとも言えます。
それに対してデメリットとして言われる事は、ATPは分子を加水分解するのが非常に簡単であるため、清浄度評価として使用をすると擬反応を出す場合があり指針として使用は可能だと思われますが、清浄度確認としての使用が厳しい点ではないでしょうか。
2番目に来るのは、残留タンパク質の定量化測定法ではないでしょうか!!残留タンパク質の測定は昔からありチャレンジデバイス等も残留タンパク質の抽出法で実施されていますが現場での清浄度確認が出来ずチェック&アクションへ直ぐに移れる迅速性がなかったのが現実でした・・・しかし近年拭取り法で残留タンパク質の定量化システムが開発され現場での迅速性が可能となりました。
NCC Column LIST
拭取り法による残留タンパク質量の測定の最大のメリットは、有機汚染・微生物汚染との相関性があり清浄度確認に有効な定量数字だと言える点です。さらに重要なことは、変性タンパク質の定量化測定できるため洗浄プロセスで除去が最も困難とされる変性タンパク質の残留を『見えるか』する事ができクオリティーの高い清浄度確認につながるとも言えます。
デメリットとしては?酵素洗浄剤を使用して洗浄を実施している現場に置いて多少の0点調整を実施してからの評価となる点ではないでしょうか、酵素が洗浄装置のすすぎ不良により医療器具の表面に残留した場合に拭取り法による残留タンパク質の定量化システムでは数字が高く出てしまう可能性があり0点調整が必要な場合があります。0点調整を行えば酵素洗浄剤をお使いの現場でも問題なく残留タンパク質の定量化は可能です。
上記で説明させて頂いた2種類の方法は、どちらを選択されても間違えではありませんし是非どちらかを選択し現場様の清浄度を上げるための1歩を踏み出してみませんか。洗浄装置メーカーや洗剤メーカーに任せっきりではなくご施設の日常管理として洗浄評価インジケータとの組み合わせとして是非実施して見て下さい。
拭取り法による残留タンパク質量の測定の関連商品は、弊社でも取り扱いがございますので興味のある方は、弊社エリア営業医担当者へお問い合わせ宜しくお願い致します。