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ノロウイルス等による感染性胃腸炎 11月から集団感染が増え始める時期!!
2021年12月01日新型コロナウイルスばかりに目が行きがちですが、例年、11月から5月にかけて、腹痛・下痢・おう吐を主な症状とする「感染性胃腸炎」の集団感染が多数発生します。集団感染が危惧される現場においては衛生的管理などに注意し対策を行うべきです。
「感染性胃腸炎」の代表的なノロウイルスとは!!
ロウイルスはカリシウイルス科ノロウイルス属のRNA型ウイルスの総称です。以前、Norwalk-like viruses(ノーウォーク様ウイルス)またはsmall, round- structured viruses(小型球形ウイルス:SRSV)と呼ばれていましたが、2002年国際ウイルス分類命名委員会においてこの属名が命名されました。ノロウイルスは経口により感染し、人の腸管で増加しますので感染者の糞便やおう吐物にノロウイルスが排出されます。感染経路
ノロウイルスは主に生カキによる食中毒の原因ウイルスとして注目されていますが、カキなど二枚貝の他にもノロウイルスに汚染された様々な食品や飲料水を介して感染することがあります。またノロウイルス感染者の糞便あるいはおう吐物に含まれるノロウイルスによってもヒトからヒトへ感染します。
現在、市販されている速乾性手指消毒剤の含有成分のエタノールにはノロウイルスをある程度不活性化しますが、それだけで十分な効果であるとは言えません。まず石けんと流水で手を洗い、手を拭いた後に、補完的な意味で使用することをお奨めします。また次亜塩素酸ナトリウムがノロウイルスに有効であるため手の消毒に検討されている方などいらっしゃいますが、手荒れや皮膚への刺激性などを考慮しますとお奨めできません。ノロウイルスに対する手指衛生は、流水と石けんによる手洗いが基本です。
・手洗い方法
NCC Column LIST
① 指輪等を外し、石鹸(ハンドソープ剤の方がより効果が高い)を十分に泡立て、ブラシなどを使用して手指を洗浄する。
② すすぎは温水による流水で十分に行い、清潔なタオル又はペーパータオルで拭く。なお、自身に下痢症状のあるとき、患者様の汚物を処理したときは、この操作を2回行うことが望ましい。
※ 石鹸自体にはノロウィルスを直接失活化する効果はありませが、手の脂肪等の汚れと一緒に、ウィルスを手指から除去する効果があります。
・感染者のおう吐物や糞便の処理
感染者のおう吐物や糞便は水洗トイレに流します。また感染者が失禁をしている場合は紙おむつを使用して使用後はきちんと密封して処分することが薦められます。また感染者のおう吐物や糞便で汚染された環境は、使い捨ての手袋、マスクを着用し飛び散りに注意して拭き取り、その後に1,000ppm(0.1%)に希釈した次亜塩素酸ナトリウムを雑巾などに含浸させ清拭消毒を行います。作業終了後は、流水と石けんで手洗いを行います。