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残留タンパク質とその測定方法 ~紫外部吸光度法とは~
2021年10月01日① タンパク質とは
タンパク質は三大栄養素の一つで生物にとって重要な栄養素であり、生物の筋肉、臓器、血液、酵素などの生命維持には欠かすことのできない主要構成成分です。
その構造はアミノ酸が多数連結してできており化学的には高分子化合物といえます。
たんぱく質を摂取するとタンパク分解酵素によりアミノ酸に分解されて吸収されます。
それから再び筋肉や血液などを作る様々なたんぱく質に作り変えられます。
② 光とは
光についても少し説明しておきます。
タンパク質の検出法の多くは光の透過性をみるものです。
簡単に知っておいた方が今後のためにもよろしいかと思います。
光は電磁波でありその波長の長さによってγ線から電波に分類されています。
プリズムに太陽光線を通してみると赤から紫まで七色に分光して見えます。
この赤から紫までがヒトの目に見える可視光線で、380nmから780nmくらいの波長です。
しかし、赤の外側にも目に見えない波長の長い光が続いておりこれを赤外線、反対側の紫の外側に続いている目に見えない波長の短い光を紫外線といいます。
さらにその外側の波長の短いX線やγ線は人間の体も通り抜けてしまう有害な電磁波として存在しています。
Ⅰ.電磁波の波長Ⅱ.波長と光の種類
③ 残留たんぱく質の抽出法の代表的な方法は?
NCC Column LIST
◆ ビシンコニン酸法(BCA法)
アルカリ条件下でタンパク質によって2価の銅イオン(Cu2+)が1価の銅イオン(Cu+)に還元される原理と、1価の銅イオンが2分子のビシンコニン酸(BCA: Bicinchoninic Acid)と配位結合して紫色に呈色する原理を組み合わせた方法
・BCA法のメリット
・タンパク質間偏差が小さい(タンパク質の種類による発色のばらつきが少ない)
・界面活性剤との共存性が高い
・検量線の直線性が高い
・室温保存のため、すぐに使用可能
・BCA法のデメリット
・還元剤や銅イオンのキレート剤により反応が阻害
・室温でも発色は少し進むため測定時間に注意が必要
◆ Lowry法(ローリー法)
ビウレット試薬にFolin試薬を加えてそれぞれの発色の組み合わせでタンパク質を測定する方法
・Lowry法のメリット
・タンパク質間偏差が小さい(タンパク質の種類による発色のばらつきが少ない)
・Lowry法のデメリット
・操作が煩雑
・原法では阻害物質が多い(還元剤、界面活性剤、EDTAなどのキレート剤、カリウムイオン、Trisバッファーなど)
・安定保管には冷蔵保管が必要*(使用前に室温に戻す必要あり)
◆ Bradford (Coomassie)法(クマシーブリリアントブルー法)
クマシーブリリアントブルー(G-250、R-250 )を加えて発色した青色の濃度を測定する方法
・Bradford (Coomassie)法のメリット
・反応時間が短く操作が簡便
・還元剤や塩との共存性が高い
・Bradford (Coomassie)法のデメリット
・検量線の直線性が低い
・界面活性剤により反応が阻害
・安定保管には冷蔵保管が必要*(使用前に室温に戻す必要あり)
・Coomassie色素はガラスや石英のキュベットに吸着
◆ 色素結合法(アミドブラック法)
タンパク質を暗青色に染める色素(アミドブラック)を加えてその濃度を測定する方法
・色素結合法(アミドブラック法)メリット
・優れた感度がる
・色素結合法(アミドブラック法)デメリット
・操作性が複雑
これらの抽出された残留タンパク質を定量化するための測定方法は?
④ 紫外部吸光度の測定
ほとんどの物質は紫外線を吸収します。
その物質が良く吸収する波長の光を当てて反対側に透過した光を測定すればどのくらいの光が吸収されたかがわかります。
その吸収された割合からその物質の濃度も測定できます。
その原理を利用したのが紫外部吸光度法でタンパク質の測定には一般的な方法です。
Ⅲ.吸光度測定