-
医療機器洗浄アドバイザーコラム 第48弾
2025年04月17日関東エリアの竹内です。我が家の息子も無事受験を終え、4月から大学生デビュー
で日々浮かれております。合格祝いにとせがまれたのが電動歯ブラシでした。
日頃普通の歯ブラシを使っていたのですが、同級生の周りでは電動歯ブラシが主流で、少し高価でもありこのタイミングでせがまれました。
通常手磨き用歯ブラシの価格は200円前後、月1回交換でも2,400円ほど。
一方電動歯ブラシは本体6,000円、替え歯ブラシ1,000円ほどで、コスト面でもかなり差がある旨説明し購入しました。ただ、替え歯ブラシが高いから、、何か月も使い続けることは本末転倒で、ブラシの先が広がってくれば要交換と伝えました。
ここで息子から『交換時期の明確な基準は?』と聞かれました。
歯ブラシの歯先広がりは目視で感覚的なもので、個人差が出ます。
やはり月1回交換や、100回使用したら交換等、ある程度基準が必要であると感じました。家庭内で振り返ると、キッチンの食器スポンジや菜箸など、明確な交換時期は設けていませんでした。きっちり基準を設けないとブレブレになってしまいますね。さて今回のコラムに関して、電極医療機器の使用回数・交換時期についてお話ししたいと思います。
オペ時間が長引き、一次洗浄するまでに時間がかかると、それでなくともタンパク固着で、こびりついてやっかいな電極医療機器ですが、皆様の病院に置かれましては、交換時期の基準や、使用回数など明確にされていますでしょうか?
最近では単回使用・使い捨て電極機器も増えていますが、コスト面でまだまだ再生利用している病院様も多いです。
また、各メーカーの添付文書には電極の推奨使用回数が明記されており、術中の使用頻度や操作方法、洗浄方法により差異が生じることがある と書かれております。
ゆうまでもなく外科手術において、電極医療器具の適切な管理は、手術の成功と患者の安全性に直接影響を与えます。器具の正確な使用法やメンテナンスが不十分であると、手術の結果が悪化する可能性があります。従って、医療現場では、どの器具がどのように使用され、どのタイミングで交換が求められるかを明確に理解しておくことが不可欠です。
バイポーラ鉗子、モノポーラ鉗子、ナイフ電極、ラパロ電極、バイポーラシザーズなどは、それぞれ異なる操作や用途に応じて設計されており、使い方や性能も異なります。例えば、バイポーラ鉗子は出血を最小限に抑えながら生体組織を操作するために使用され、モノポーラ鉗子は高周波電流を用いて切開を行います。このように、器具の特性を把握することが重要です。
なぜ?使用回数を見極める必要があるのか?
手術中の器具の品質管理は、患者への直接的な影響を考慮すると非常に重要です。適切な器具が使用されることで、手術の進行がスムーズになり、結果的に患者の安全性が確保されます。特に、バイポーラ鉗子やナイフ電極などの器具は、手術の精度に大きく寄与します。
器具の使用回数が増加すると、その劣化は避けられません。特に、電極類は通電により金属部分が酸化し、不十分な洗浄を繰り返すことで残留したタンパク質が蓄積することがあります。このため、バイポーラ鉗子やシザーズの推奨使用回数を遵守することが肝要です。たとえば、シザーズは最大5回、把持鉗子は10回の使用を超えると性能が著しく低下するため、これらの基準値を厳守することが求められますが、器具の寿命を延ばすためには、適切なメンテナンスが欠かせません。使用頻度や洗浄状態、さらに保管方法によっても器具の状態は大きく変わります。したがって、中央材料部の管理スタッフはこれらの要因を考慮し、器具の管理を徹底する必要があります。定期的な点検と専門的な洗浄を実施することで、不具合を未然に防ぎ、患者の安全を確保することができます。
各電極医療器具について
〇バイポーラ鉗子
バイポーラ鉗子は、推奨される使用回数が約50回とされています。この数値は、器具の性能を最大限に保つために設けられたものであり、50回使用後は、たとえ外観上の劣化や破損が見受けられなくとも、その交換が推奨されます。
〇ナイフ電極
ナイフ電極の寿命は主にその使用頻度と洗浄状態に依存します。使用回数が50回に達した場合、外見上は劣化や破損が確認できない場合でも、機能を保証するためには使用を中止し、新しい器具に交換することが推奨されています。
〇ラパロ電極
ラパロ電極の交換時期は、使用状況や器具の状態によって異なるため、外科医や医療スタッフは注意深く管理する必要があります。一般的には、使用回数が50回に達したとき、外観上の劣化や破損が見受けられない場合でも、一定の基準に基づき交換することが推奨されます。このような厳密な確認が、患者の安全や手術の質を保証する上で非常に重要です。
ラパロ電極は、数十回の使用後に劣化し始めるため、定期的な確認が不可欠です。具体的には、使用頻度や手術の種類によってその耐久性は変化します。特に、使用後の適切な洗浄と保管方法が、器具の寿命を大きく向上させる要因となり、中央材料部洗浄スタッフは特に注意が必要です。
〇モノポーラ鉗子
モノポーラ鉗子を使用する際には、最初に接続が正しく行われていることを確認することが極めて重要で、不適切な接続は、電流の流れを妨げ、手術の精度に悪影響を与える可能性があります。
モノポーラ鉗子の寿命は、高周波電流によって引き起こされる酸化や、適切に洗浄されないことで生じる蛋白質の蓄積は、鉗子の性能を劇的に低下させる要因です。
〇バイポーラシザーズ
バイポーラシザーズは、製造元の推奨に従い、5年間の耐用年数を踏まえた洗浄や消毒を行うことで、性能を保持したままの再利用が実現します。このような管理によって、医療従事者の事故防止も図れるため、中央材料部でのメンテナンスは手術の質向上に不可欠です。
総じて、電極医療器具の使用に関しては、全体のガイドラインに従うことが不可欠です。特に、バイポーラ鉗子やナイフ電極のような器具は、使用回数が50回に達した際には、外観上の劣化が見られなくても交換することが推奨されていますが、使用回数までの劣化を防ぎ器具の性能を確保し、安全な手術を行うために重要な再生業務と言われております。最近の新たな洗浄技術が開発され、実践的な洗浄手法が提案されています。
その前に、皆様が日々疑問、または難しいと感じている『なぜ落ちない?』の原因も分析し突き止める必要があります。
落ちない原因として
➀手作業のでのブラッシングやヤスリで削る等器材への傷やダメージ
②洗浄スタッフ毎の力の入れ具合やスキル差、作業ムラ
③器具自体の複雑な構造による汚れ残存リスク などが挙げられます。
これらの要因から発生する課題は、器具の性能劣化だけではなく、感染リスクも増大させる要因と成りえます。
これに関しては我々NCCが提供できる実践的な解決策が既に持っております。
・タンパク固着を溶解・除去出来る専用溶剤:ダメージレスで汚れが蓄積されやすい電極部の再生品質を
安定化させます。
・スチーム洗浄機:手作業では落としきれない複雑な部位の汚れを蒸気の力ではぎ取ります。
また人の手や熟練度関係なく、誰が作業しても同じ品質を実編します。
我々も会社スローガンに『手術部位感染をゼロ』を掲げており、より良い洗浄・最適解を
お届け出来るよう念頭に置いて活動しております。
ここまで読んでいただきありがとうございます。上記課題解決方法の詳細を知りたい方は弊社スタッフまでお声がけください。
NCC Column LIST