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ウォッシャーディスインフェクターの洗浄プログラム特性について
2024年12月11日今年も後1ヶ月。今年も色々な事があったと思います。皆様も思い思いの1年を楽しく過ごしてこられたかと思いますが、何かやり残したことがありませんか?
それは・・・・・・・年末大掃除!!
私は、早めから大掃除を少しずつ行う計画で今実行中です。まずは自分の身の回りから、次に自分が使う場所・・・と広げて行っています。昨日、クローゼットの大掃除に取り掛かり『断捨離』を行いまた。
その際にふと思い出したのですが「断捨離はときめくものを残せ」って。こんまりこと近藤麻理恵さんの教えを!!その言葉に則り断捨離スタート・・・しかし、ときめくものだけ残そうとしたら全部にかすかなときめきと使用用途毎の特性がある服と思えて来はじめます。それでは、断捨離が終わらないと思い始め同じ特性のある服を全部出して捨てるか残すか判別するとやって行くと断捨離がスムーズに終わりました。皆様もクローゼットの断捨離をするさい1番に『同じ特性ごとに分ける』2番目に『ときめきを信じる』の順番で行って見て下さい。思ったより早く掃除が終わりますよ!!使用用途ごとの特性と言うと、中材業務の洗浄にも普段あまり意識しませんが・・・よくよく考えると
特性があるなーと思う業務がありますよね。そうです!!ウォッシャーディスインフェクターで使用される
洗浄プログラムや洗浄剤です。
近年では、洗浄物に合わせて承認等もあって洗浄剤もプログラム変更を行う事が多くなって来ています
が、そのプログラムの特性や洗剤特性を知ると実は『断捨離』を行うのと一緒でプログラムを統合出来
る・洗浄剤を1本化出来ると言った効率化が図れるきっかけとなります。
そこで、今回のコラムでは、ウォッシャーディスインフェクターの洗浄プログラムの考え方に関して詳しく説明を行って行こうと思います。
NCC Column LIST
まず、洗浄剤・洗浄溶剤別の洗浄工程は、医療器具の特性や汚染状況に応じて設定されているものです。一般的には、アルカリ高温洗浄や酵素低温洗浄方法などが用いられこれらの洗浄温度の違いや必要な項目・特徴について説明します。
1. アルカリ高温洗浄
特徴とメリット:
高温(通常70℃~90℃)での洗浄を行い強力なアルカリ性洗浄剤を使用して、
汚染物質を分解・除去します。低温(40℃~50度)から高温(70℃~90℃)に
ツーステップ洗浄を行う事によりタンパク質の凝固を防ぎつつ、汚染物質
(タンパク質・脂・バクテリア)の除去率が最も高い洗浄剤となります。
特に血液や脂肪汚れの除去に非常に効果的で、この特長から大量の器材を効率的
に処理できます。
適用例:
ステンレス医療器具と耐溶剤素材の医療器具で血液、脂質汚染が多い医療器具
注意点:
アルカリ性(pH10~pH14)のため、pH値の影響で劣化をしめす医療器具・
繊細表面処理をされている医療器具には適さない場合があります。
アルカリ性(pH10~pH14)になるので十分なすすぎか中性処理が必要です。
アルカリ成分の残留は医療器具の変色(白灰現象・レインボー現象)や患者への影響が
ある可能性があります。
2. 酵素低温洗浄
特徴とメリット:
低温(40℃~60℃)で洗浄を行い中性酵素洗浄剤(pH7~pH10)を使用して、
汚染物質を分解し除去します。添加剤として使用されている酵素(プロテアーゼや
リパーゼ等)が血液やタンパク質汚染物質を化学分解し、溶剤に弱い材質(プラス
チックやゴム製品)の精密医療器具にも洗浄対応可能です。
適用例:
ステンレス医療器具と繊細表面処理をされている医療器具・精密医療器具と細い
管状の医療器具
注意点:
酵素(プロテアーゼやリパーゼ等)が洗浄効果を発揮する特定のpH値や洗浄温度
範囲を守る必要があります。
※ 近年では、強アルカリ酵素洗剤も開発が進み市場で見る事も増えて来ました。
強アルカリ酵素洗剤は、アルカリ洗浄剤と酵素洗浄剤の両方の特徴を持った
洗浄剤となっています。
次にウォッシャーディスインフェクターの洗浄プログラム全行程について含む必要がある
要素(目的)事項に関して説明致します。
1. 予備洗浄(前洗浄)
目的: 大まかな汚染物質を除去し、主工程の洗浄効果を高めるのと1次洗浄で使用した
残留洗浄剤の除去をします。
方法: 汚染物質の固着を防ぐため冷水を使用し1分~3分実行します。
2. 洗浄(メイン洗浄)
目的: 洗浄剤を使用し、医療器具に付着した有機物や汚染物質を完全に除去します。
洗剤の選択: アルカリ性洗剤・中性酵素洗剤・アルカリ酵素洗剤を選択
方法: アルカリ洗浄なら70℃以上・中性酵素洗浄なら30~50℃・アルカリ酵素洗剤なら
45℃~60℃洗浄で5分~15分を1回~2回実行します。
3. すすぎ(中和すすぎ)
目的: 洗浄剤や汚染物質残留物を完全に除去・中和します。
方法: 医療器材ダメージを考慮し温水を使用し1回~3回実行します。最後のすすぎ工程
では、RO水(純水)を使用することが多いです。
4. 熱水消毒(乾燥促進処理)
目的: 洗浄後の微生物を減らし、中材業務者の感染リスクを最小限に抑えるのと乾燥
効率を上げます。
方法: 90℃以上の高温で消毒を実施します。A0値3000以上を実行します。
5. 乾燥
目的: 医療器具の表面や内部を完全に乾燥させ、再汚染や腐食を防ぎます。
方法:: 熱風乾燥または除湿乾燥を使用します。
洗剤の選択と洗浄プログラム全行程の特徴が解った所で選択基準に触れて行きたいと思います。
ウォッシャーディスインフェクターの洗浄プログラムは、対象素材(医療器具の添付文章による)
や汚染状況または、施設ごとのガイドラインに応じて設定選択されるべきで、初期設定のまま使い
つでけるものではなく時代に沿った・ガイドラインや業界ポリシーなどの情報を集め変えて行く
ものであると言われています。
1. プログラムの選択
各施設で洗浄する医療器具の特性・汚染状況に応じてプログラム内容を理解し選択し洗浄をスタート
させて行きましょう。どの様な洗浄プログラムカスタマイズ最善なのかも常に情報収集を行いましょう。
2. 効率化
洗浄業務の大量短時間処理を目指して、検証洗浄評価を1年に1回は実施し効率性がある洗浄プログラムを選択、その選択した洗浄プログラムが標準化され再現性のあり清浄度保証が出来るかは、毎日の洗浄結果検証によって保証されます。
3. 記録管理
各工程の温度・時間・洗浄剤の濃度などが記録を保管し、トレーサビリティを確保しつつ各洗浄実施後の医療器具の清浄度保証を行うと、洗浄不良が発生した場合の原因究明が容易になります。
最後にウォッシャーディスインフェクターのプログラム見直しと選択は、医療器具の洗浄における信頼性
と効率性を確保する重要な業務の1個です。その洗浄プログラムは、施設の運用方針・ガイドラインと
医療器具の特152
性・汚染度(清浄度保証)に応じて適切に設計されている事によって、感染リスクの低減
と高品質な洗浄が実現すると考えます。
弊社も各現場様も現状洗浄プログラムが適正で有るかを検証するシステムの提供もさせて頂いています
ので、興味のある方は是非お問い合わせ頂くか下記のアドレスよりトライアル申し込みをお願い
致します。
トライアル申し込みアドレス:
https://www.ncc-medical.com/seminar/1