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医療機器洗浄アドバイザーコラム 第40弾
2024年07月22日近畿・東海・北陸エリア担当の竹中です。
私が住む大阪も6月中旬に梅雨いりし、毎日雨か曇り空で洗濯物が乾きません。
洗濯物のお話しは、前回の第37弾でしましたね。
いつ梅雨明けするか分かりませんが、何日も高温多湿の日が続くと
五十路の体にはダメージを受けます。
ただ、最近ではスマホの「お天気アプリ」が優秀で、何時頃に雨が降り出すか、
何時頃雨がやむかの予測ができるので、急に雨に降られる事は少なくなりました。中材業務でダメージと言えば、毎日ウォッシャーディスインフェクターで洗浄されている
NCC Column LIST
器材も例外ではありません。
洗浄剤が手術器具に与える化学的ダメージには、以下のような要素があります。
アルカリ性洗浄剤
高いpHを持つアルカリ性洗浄剤は、ステンレススチールやアルミニウムなどの金属表面に腐食を引き起こすことがあります。これにより、金属が劣化し、強度や機能が低下します。
酸性洗浄剤
低いpHを持つ酸性洗浄剤も同様に金属を腐食させる可能性があります。特に、銅や真鍮などの金属は酸に対して非常に敏感です。
エッチング(腐食による微細な刻み):
強力な酸性またはアルカリ性洗浄剤が金属表面に細かい傷や微細なクラックを引き起こし、それが細菌や汚染物質の潜在的な隠れ場所となることがあります。
不動態化被膜の破壊:
ステンレは表面に自然に形成される不動態化被膜によって腐食から保護されています。強力な洗浄剤がこの酸化被膜を破壊すると、下地の金属が露出し、腐食が進行しやすくなります。
アルマイト加工被膜の破損:
一部の手術器具はアルミニュウムが使われていてアルマイト加工が施されています。洗浄剤がこのコーティングを劣化させると、器具の耐久性や機能が損なわれる可能性があります。
プラスチックおよびゴム部品への影響:
脱プラスチック化:
特定の化学物質がプラスチックやゴムを劣化させ、硬化や割れを引き起こすことがあります。これにより、手術器具のシールやハンドルなどの部品が損傷する可能性があります。
水質によるダメージ:
洗浄に使用する水の質も手術器具に大きな影響を与えます。以下にその要因を詳しく説明します。
硬水の影響:
スケールの形成: 硬水にはカルシウムやマグネシウムなどのミネラルが多く含まれており、これらが器具の表面にスケール(白い付着物)として蓄積します。スケールは腐食の原因となり、器具の表面を荒くし、さらに洗浄や滅菌が困難になります。
不純物と微粒子:
粒子の付着: 水中の微細な粒子が器具の表面に付着すると、表面が擦れて損傷したり、汚れが落ちにくくなったりします。これにより、感染リスクが増加する可能性があります。
微生物の存在: 水質が悪い場合、微生物が水中に存在し、これが器具に付着することで感染リスクが増加します。
塩素やその他の化学物質:
塩素腐食:
上水道に含まれる塩素は、器具の金属表面に腐食を引き起こすことがあります。特にステンレススチールに対しては有害であり、長期間使用することで損傷が進行します。
その他の化学物質: 水道水には塩素以外にもさまざまな化学物質が含まれており、これらが器具に影響を与えることがあります。
対策
適切な洗浄剤の選択:
手術器具に適した弱アルカリ性の洗浄剤を使用し、過度に強いアルカリ性や酸性の洗浄剤を避ける。
洗浄プロセスの管理:
洗浄時間や温度を適切に管理し、過度な物理的ストレスを避ける。
水質管理:
軟水を使用するか、硬水を軟化させる装置を使用する。
高純度の水(例えば逆浸透水や蒸留水)を使用して洗浄や最終すすぎを行う。
定期的なメンテナンスと検査:
手術器具の定期的な点検とメンテナンスを行い、早期に劣化や損傷を発見して対処する。
これらの対策を講じることで、手術器具の寿命を延ばし、感染リスクを低減することができます。
NCCは、器材のダメージレス洗浄が得意なので、
清浄度を確保しつつ器材の劣化を事前に予防する情報提供も行っています。
器材のダメージでお困りの方は、お気軽にご連絡ください。